VARでPKは増えたのか?
VAR導入で増えると言われているPK。ホントに増えたのか、先行導入している欧州リーグのデータから検証してみましょう。
PKはあんまり増えない(参考:ドイツ&スペインのデータ)
VARの導入で如実に増えそうなのがPKです。
エリア内で守備側の選手がハンドっぽいことをしたり、ビミョーにラフなプレーをした際、今までは「うーん……」って主審が悩んで流されていたケースで、↓こんなモーションでビデオ審査になるワケです。
いやあ、「蹴りたい甲羅ランキング1位」って感じの絵面ですね。(なんで作った)
さて、本題に戻りましょう。
PKの増減を調べるために、18-19シーズンからVARを導入したラ・リーガ(スペイン1部)とブンデスリーガ(ドイツ1部)のデータを調べてみました。
参考:www.transfermarkt.com
~ラ・リーガ1シーズン全380試合における、PK総数と成功失敗数~
シーズン・年度 | PK総数 | 成功 | 失敗 |
16-17 | 120 | 88 | 32 |
17-18 | 113 | 81 | 32 |
18-19 | 129 | 106 | 23 |
ラ・リーガのPK総数は1昨シーズン比で約14%増となっています。
ただ16-17シーズンとの比較では7.5%増ですね。あんまり増えてません。
~ブンデスリーガ1シーズン全306試合における、PK総数と成功失敗数~
シーズン・年度 | PK総数 | 成功 | 失敗 |
16-17 | 98 | 71 | 27 |
17-18 | 93 | 68 | 25 |
18-19 | 91 | 74 | 17 |
ブンデスのPK総数は1昨シーズン比で2%減。16-17比では7%減。
誤差の範疇くらいですかねぇ。横ばいから微減と言っていいように思います。
リーグごとに差は出ましたが、総じて「危機感持つほど、伸びてはいない」と言えるんじゃないでしょうか。
PK成功率はメチャメチャ上がった
上記を調べたので、成功率も一応算出してみたんですね。結果は↓の通り
シーズン・年度 | ラ・リーガ(スペイン1部) PK成功率 |
ブンデスリーガ(ドイツ1部) PK成功率 |
16-17 | 73.3% | 72.4% |
17-18 | 71.7% | 73.1% |
18-19 | 82.2% | 81.3% |
「PK総数より、成功率が10%近く上がっているっていう事実の方が驚きだよ!」っていう結果ですね。
「VARでPK増えるから、例年よりPK練習をちゃんとやりました!」って事なんでしょうか。
「キッカーが蹴る前に、GKがライン上より前に出てはいけない」ってルールが厳密になったのも一因かもしれませんな。
シミュレーションはすげぇ減る
その他に何か変化はなかろうかと調べていて、VARに関するCTA(スペイン審判技術委員会)の発表をみつけました。その中で一番「すげぇ数字の変化だな」って思ったのはシミュレーションの数です。
The CTA also said player protests were down 17.3%, while simulation dropped by 68% following the introduction of VAR.
引用:euronews「VAR has been a success in La Liga, say Spanish referees」
私のTOEIC300点程度の英語スキルで和訳しますと、「CTA(スペイン審判技術委員会)の発表によると、VARの導入によって、プレイヤーからの抗議は17.3%減少した。一方で、シミュレーションは68%減少した」っていうことです。
シミュレーション68%減ですよ。減り過ぎでしょ。「バレてイエロー貰うかもしんねぇ!」っていう抑止効果で、シミュレーションが激減したんでしょうねぇ。(ネイマールさん、更正のチャンスですよ!)
選手からの抗議17.3%減ってのも面白いですね。レフェリーからすると、「映像見て判断したんだようるせーな」って感もあるでしょうから、選手が抗議しても不毛&悪印象になりやすいでしょうね。
まとめ
思ったよりPKは増えませんでしたね。「フィールドゴールの割合が減って面白くなくなる」っていうことより、「判定までの時間が必要になって、試合が間延びする」ってことの方を心配したり、対策する方が大事かもしれません。
あと、シミュレーションとか選手からの抗議とか、「他スポーツファンがサッカーを嫌う理由」の上位に来そうな点が、VARによって軽減されそうなのは良いことだと思います。
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