19-20UCLラウンド16予想 RBライプツィヒvsトッテナム編(2nd)

2020年4月10日

UEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16の予想Part3です。取り上げるのは、日本時間3月11日(水)早朝に2ndレグがキックオフとなるRBライプツィヒトッテナムす。


※docomoユーザーならDAZN for docomoがオトク!

両チームの比較

予想スタメン

スタメン予想というかスタートのシステム予想が至難なカードです。両チームとも4バック・3バックを併用している上に、ライプツィヒのナーゲルスマン監督は基本的に敵センターバックの枚数に合わせてフォワード人数を決めている節(3バック相手にはCF2枚、4バック相手にはCF1枚)があり、お互いの予想がかち合って、変なスタメン&並びになる可能性があります。

両チームの現状や戦力の簡易比較

比較ポイント RBライプツィヒ トッテナム
各国リーグでの調子 ナーゲルスマン新監督のもと3位とまずまず ポチェッティーノからモウリーニョに監督交代したものの、8位と不調
戦力的な優位点 全選手の走力と運動量が非常に高い。FWのヴェルナーが絶好調 重戦車的パワーを持つ選手が多い
戦力的な不安点 細かくパスを回して崩していくというのは苦手 ケインとソンフンミンが負傷中で、本職センターフォワードがいない。守備がどこか不安定
チャンピオンズリーグ経験 ほとんど無い まずまずあり(昨年準優勝)
モウリーニョ監督のUCL経験は当代随一と言える

新旧理論派監督対決として注目されているのがこのRBライプツィヒトッテナムです。1stレグはトッテナムがホームで敗れる(スコアは0-1)という波乱が起きましたが、2戦目もこのままRBライプツィヒが押し切れるのでしょうか。

RBライプツィヒについて

レッドブル資本の新興クラブ

「普段ブンデスリーガはチェックしない」という方にとっては馴染みのないクラブ名かもしれませんので、簡単にクラブ紹介をします。RBライプツィヒは、2009年にオーストリアの有名飲料メーカー『レッド・ブル』が当時ブンデス5部のチームであった『SSVマルクランシュタット』を実質的に買収して創設した新興クラブです。

クラブ名の「RB」は当然RedBullの頭文字ですが、ドイツのクラブ名の命名規則においては、一部の例外(※1)を除いて、会社名をクラブ名に入れるのはご法度です。

そのため表向きには「RasenBallsportの略だ」とクラブ側は主張しています。直訳すると「芝生球技」という造語だそうで、「それで通るなら、有名無実なルールではないか」と私は思うのですが、今のところ通っているようですね。

買収後ライプツィヒは7シーズンかけ一歩一歩昇格していき16-17シーズンからブンデス1部で戦っています。16-17シーズンは昇格直後にいきなり2位でフィニッシュして大ニュースになりました。

※1:バイエル・レバークーゼンのこと。製薬会社のバイエル社が実質的オーナーだが、従業員が始めたクラブであり、クラブ名称に歴史があるため許可されている。


極端に『縦に速い』スタイル

閑話休題、ライプツィヒのやっているサッカーについて話ましょう。彼らのサッカースタイルの特徴は「極端なゲーゲンプレスとショートカウンター」です。

敵にボールを奪われると、ライプツィヒの選手4人くらいがワラワラと群がるようにプレスをかけて即時奪回し、そこから縦に素早く速攻をかけ、奪われるとまた群がって奪い返し、縦に素早い速攻を…、ということを本気で90分繰り返す『軍隊みたいなチーム』です。

そういう極端なスタイルですから、ハマる時とハマらない時の差が顕著です。難敵をハイプレスで封殺したと思ったら、下位相手に縦パス一発でハイプレスの裏をとられて失点して負けてしまったりと安定しません。

ただ、「軍隊プレス&速攻しかやらない」というのは去年までで、今期からホッフェンハイムでラップトップ監督として名を挙げたユリアン・ナーゲルスマンが監督に就任し、ややポゼッション的なエッセンスも"微量"取り入れるようになりました。

無茶なロングカウンターは止めて、ディフェンダーとミッドフィルダーでパス交換をしながら押し上げるようなシーンも見られるますね。その1つの証左として、昨年49.5%だったボール支配率が、今年は53.2%まで上がっています。

ザビッツァーに注目

注目選手としてはセンターフォワードのティモ・ベルナー…、を話すと普通なので、マルセル・ザビッツァーを挙げます。

中盤の選手で、右サイドハーフとセンターハーフが主戦場ですね。真面目な守備参加と、豪快なゴールが持ち味です。今期UCLグループステージでも、ゼニト戦で凄いボレー(若干マグレ感)を決めています。(以下動画1:11~参照)

ちなみに、ライプツィヒは上記軍隊教育の関係上、基本的には20代前半までの選手しか獲得しません。どこかの国の萌えアニメオタクの言っている「25歳以上はババア」の性別反対バージョンですね。

その結果チーム全体が若く、ビッグクラブから狙われるような若手有望銘柄が多数存在するチームです。

センターバックのウパメカノ、右サイドバックのムキエレ、攻撃的センターハーフのヌクンクダニ・オルモ、フォワードのヴェルナーなど、今夏の移籍市場で争奪戦になりそうな選手がいますので、名前を覚えておくと知ったかぶりができるでしょう。

トッテナムの近況

プレミアリーグのビッグ6の一角にして、昨季チャンピオンズリーグ準優勝チームがトッテナムです。しかし、「今期こそタイトルを!」という開幕当初の期待はどこへやらで、来期UCL出場権すら危ういプレミア8位と大不調です。

内紛と怪我人による戦力ダウン

今期はポチェッティーノ監督と選手が仲違いしたとかでスタートに躓きました。11月中旬に監督がモウリーニョに交代して一時的に上向いたものの、(カップ戦等含めて)ここ5戦勝利無しでプレミアリーグでは8位に甘んじています。

現在の不調の原因は「攻撃の駒不足」ですね。

崩しを一手に担っていたエリクセンが契約延長を渋り、契約切れ前の今冬にインテルに移籍してしまいました。加えてハリ・ーケインとソン・フンミンという得点源2人が負傷離脱中です。肉弾戦担当のシッソコまで怪我で使えず、崩しとフィニッシュの手札が一気に消えた状態になっています。

加えて、昨年までは堅守のイメージもあったトッテナムですが、今年はどこかズレが生じています。29試合40失点と、ビッグ6では最も失点が多く、昨シーズンの総失点(38試合39失点)を既に超えています。チャンピオンズリーグにおいても、グループステージでバイエルンに7失点という惨たらしい試合がありました。

失点増の要因はゴールキーパーのロリスが不調、アルデルバイレルトやヴェルトンゲンのスピードの衰えなどと言われていますが、攻撃陣の機能不全による不用意なボールロストが増えた結果、ピンチの数自体が増加しているのではないかと私は考えています。パス成功率が昨シーズン83.2%から、今シーズン81.1%にまで低下していますし、被タックル数もプレミアリーグでクリスタルパレスに次ぐワースト2位(1試合12.2回)ですからね。

ベルフワインとロ・チェルソに注目

そんな中現れた希望の星が、冬にPSVから獲得したオランダ代表のベルフワインですね。デビュー戦となった2月のマンチェスター・シティ戦でいきなりゴールを叩き込み、頭数の足りない攻撃陣の希望の星となっています。(以下動画参照)

もう1人、個人的な注目選手は、昨夏にベティスからレンタル加入したアルゼンチン代表MFのロ・チェルソです。

年末までは全くいいところが無かったのですが、冬にトッテナムが買い取りオプションを行使して完全移籍となってから妙に発奮したのか、最近は本領発揮する試合も増えてきました。

ゴール前に走り込んで得点も奪えるセンターハーフですが、ディフェンスラインの裏とか、サイドバックの選手を前に走らせるような、「スペースへ出すパス」が抜群に上手い選手です。崩しの切り札になれるのではないかと期待しています。

順当に考えればRBライプツィヒが勝ちそうだが…

1戦目はトッテナムホームでしたが、0-1でライプツィヒが予想外の勝利を収めました。リードした状態でホームに戻って第2戦ですから圧倒的有利です。

また、トッテナムのように攻撃的でラインも高いが、守備陣のボールスキルはそこまで高くないというチームには、ライプツィヒのプレスが非常に効果的な印象もあります。ハーフエライン付近で、ライプツィヒ思った通りにボールを奪取し、ライン裏目指して「ヨーイドン!」というパターンが成立しやすいのです。

普通に行けば、ライプツィヒがリードを保ったまま90分間相手の攻撃を潰し、ナーゲルスマンが「計画通り」とばかりにニヤリと笑って終了というのパターンで終わりそうです。

とは言え、上述した通りライプツィヒの戦術はハマる時、ハマらない時の差が激しいので、ディフェンスラインの裏にポンと出されたパス1本で得点が入って並ばれてしまい、敗戦するという可能性も低いながら、確実にあります。

トッテナムの監督がモウリーニョという点も見逃せません。ここぞという1試合で、特別な勝ち筋をデザインするという点においては素晴らしい監督ですから、「終わってみると、なんだか今日はライプツィヒのプレスが空回りしていたな」という試合になっていてもおかしくはありません。

まとめると、7割方ライプツィヒが勝ち上がると思うが、3割程度トッテナム逆転という波乱含みといったところかと思います。

グチャグチャになって1-2でトッテナムが勝ち抜ける妄想

さて、試合の妄想予想です。今回は監督2人のキャラクターに焦点をあてて考えました。こういう「ここぞという試合に、何か秘策を持ち込んでくる頭脳派監督」同士がぶつかった際に起きることは、「お互いの読みが高度に的中し合った結果、泥仕合化する」です。きっとこの現象が起きます。

<スタメン発表>「この大一番に、なぜコイツを起用した?」みたいな選手が両チームスタメンにいることが発覚

<セレモニー>ナーゲルスマンがトッテナムベンチに近寄り、モウリーニョと含みのある笑顔で握手を交わす。

<試合開始>

<前半2分>「これどういうシステムなの?狙いは何?」と解説者のベン・メイフリーが困惑する

<前半10分>中盤で壮絶な潰し合いが起こり、どちらもチャンスを作れずに膠着する

<前半35分>潰し合いの中で、ライマーとダイアーが派手にぶつかって倒れ、ボールがヴェルナーの足元にこぼれる。倒れた2人に戸惑う周囲を横目にヴェルナーが独走ゴール!ライプツィヒ先制!1-0

<前半35分>「なぜ試合を止めない!」とモウリーニョが激怒して第4審判に詰め寄る。ベンチに座れとばかりにイエローカードを提示される。ヴェルナーは「俺が悪いの?」と戸惑った表情を浮かべる。

<前半終了>険悪な雰囲気のなか、1-0で折り返し

<後半開始>中盤の潰し合いがさらに激化

<後半10分>ヴェルナーが再度こぼれ球を拾って突破しようとするが、ヴェルトンゲンの鋭いエルボーがさく裂。しかしなぜかカード無しナーゲルスマンが激怒して第4審判に詰め寄る。座ってノーパソでも見てろとばかりにイエローカードを提示される。

<後半20分>この時間帯に初めて得たコーナーキック、ゴチャゴチャになったゴール前でデリ・アリが押し込んでトッテナム追い付く!1-1

<後半30分>ラメラが交代で入る

<後半42分>泥仕合による疲労からプレス強度が落ちた瞬間を突いて、元気なラメラがドリブル突破してゴール!ッテナム逆転!1-2

<試合終了>合計2-2、アウェイゴール差でトッテナムの勝ち抜け!

こんな感じでグチャグチャになり、綺麗なカウンターとか綺麗に崩したゴールは生まれずに、偶然の突発事態に上手く対応できたトッテナムが勝つと予想します。

まとめ(&冷静な予想)

まともに考えれば、点を取らねばならないと考えて高めのラインを取ったトッテナムが、そのライン裏をかかれてライプツィヒに2-0くらいで封殺されるような気もします。(ただ、ナーゲルスマンがモウリーニョに勝つと言うイメージが湧かないのも正直なところです)

水曜朝5時が楽しみです!