(旧版)意識高い系諸葛亮-2-1

2019年10月20日

1話ラストの前フリ無視して違うシーンにしました。(申し訳ねぇ!)

キャラ紹介とか用語説明は長くなりそうなんで、設定置き場を別ページで作りました。興味ある人は見てね!

※会話オンリー方式に限界を感じたため、リライトしました。リライト版はココをクリック

前回のあらすじ

CGデザイナーで意識高い系ニート諸葛亮は、自己顕示欲を満たすために劉備に取り入ることを決意。龐統や徐庶と協力して、「自分を高く売るため」に策動をはじめた。

諸葛亮曰く「マーケットトレンドを見極めないとキャピタルロスするよ」

マッチポンプとは、マッチで火事を起こしてからポンプで消化し、自作自演ヒーローになることである。しかし、必然として「火事で燃えるもの」が無くてはならない。そのため、諸葛亮は蔡瑁(さいぼう)という人間に燃えてもらおうと考えた。蔡瑁は諸葛亮にとって義理の叔父(許嫁の母の弟)であり、顔を合わせば「就職しろ」とうるさいからだ。

蔡瑁は荊州地区の大手総合小売チェーンKマートの取締役である。そこまで出世できたのは、現社長劉表(りゅうひょう)の後妻が彼の姉だからである。つまる話、彼は「姉が良家に嫁いで成り上がったラッキーコネ野郎」なのだ。「少しくらい炎上して社会的地位を失ってもいいだろ」と考えた諸葛亮は早速彼の家を訪ねた。

諸葛亮「蔡さん、御無沙汰しています」

蔡瑁「やあ亮くん、定職にはついたかい?」

諸葛亮「いやあ、まだまだ自分探しやってますねぇ」

蔡瑁「変わらずニートかぁ。で、今日はどうしたの?」

諸葛亮「ショートノーティスな話です。蔡さんが持ってる『Kマート新野』の株を曹魏カンパニーに売りませんか?」

蔡瑁「はぁっ!?いきなり何言ってんの??」

諸葛亮「だからショートノーティスだって言ったじゃないですか。ショートノーティスの意味わかってます?」

蔡瑁「わ、分かってるよ!バカにするなよ!」

諸葛亮「売ってもいいじゃないすか、『Kマート本社』じゃなくて『Kマート新野』は新野地区営業統括用の子会社ですし」

蔡瑁「だったとしても取締役の私が売っちゃったらコンプラとか、アレとかヤバイだろう!」

諸葛亮「地場の小株主さんは曹魏カンパニーと面会アポとり始めてますよ。向こうが50%以上買い占めたら、後の株主は用済みで、買い叩かれてバカを見るだけです。マーケットトレンドを見極めてポジション取らないキャピタルロスしますよ」

蔡瑁「なんだと!?」

諸葛亮「そもそも、曹魏カンパニーのやっている通販事業aman.comと、旧来の小売を続けてるKマートでは勝負になりませんよ。ロジスティクスが何よりもダンチですから、コスト面でまず勝てないでしょう。今売るか、後で潰れるかどっちかです。アンダスタン?」

蔡瑁「ロジティクは確かにそうかもしれんがね……」

諸葛亮「ロジスティクスですよ、ロ、ジ、ス、ティ、ク、ス。分かってます?」

蔡瑁「わ、分かってるよ!バカにするなよ!」

諸葛亮「はぁ…」

蔡瑁「そもそも、曹魏がいくら『Kマート新野』をTOBしようとしたって、50%に届かないだろ。Kマート本社が25%、社長夫婦が10%、Kマート新野社長の劉備が10%、そこに私みたいな本社重役連中の持ち分を足したら55%に達するんだぞ」

諸葛亮「TOBなんて言葉知ってるんですね。意外です」

蔡瑁「知ってるよ!バカにするなよ!」

諸葛亮「ただ、劉備は売りそうですよ。彼はカネコマですからね」

蔡瑁「カネコマは分かるぞ!」

諸葛亮「聞いてませんけどね……」

蔡瑁「劉備は曹操と犬猿の仲だろう!仕えるのが嫌だったから袁紹(えんしょう)の元へ身を寄せ、それがダメそうになったから親類筋を辿ってこっちに逃げてきたんだ」

諸葛亮「ホントにそうですかね?彼を招き入れた団体やら企業やらは、結局、曹魏カンパニーに都合よく組み込まれているように思いませんか?陶謙(とうけん)も、呂布(りょふ)も、袁紹もやられましたよね」

蔡瑁「ヤツがスパイだとでも言うのか?」

諸葛亮「さあ、どうでしょうね。でもこんなエビデンスを私は持っていますよ」

蔡瑁「なんだこの飲み会写真は。劉備じゃないか。これ隣に映っているのは誰だ?」

諸葛亮「曹仁(そうじん)ですよ。曹操のイトコでaman.comの荊州エリアサービスのローンチ責任者ですね。ローンチ、分かります?」

蔡瑁「わ、分かってるよ!バカにするなよ!貸し出し責任者ってことだろ」

諸葛亮「はぁ…」

蔡瑁「この写真、どうせ劉備が曹魏カンパニー顧問だった時代の写真だろう!?」

諸葛亮「劉備さん最近このくらいメタボってますよね。ストレスで白髪も増えたとか」

蔡瑁「……」

諸葛亮「劉備が曹魏カンパニーの顧問だったのは10年前です。そのころはもっとスリムで、健康診断で引っ掛かることもなかったそうですよ」

蔡瑁「そういや今年は『ガンマGTPがやべぇ』って言ってたなぁ…」

諸葛亮「写真はあとで転送しときますね。で、株を売る話はショートノーティス案件でスケジュールバッファが無いので、クライアントの気が変わらない内に、早めにDMしてくださいね。スケジュールバッファって分かります?」

蔡瑁「時間がないから早急に決断しろってことだろ」

諸葛亮「知らない言葉は知らな……、いや正解ですね」

蔡瑁「今バカにしようとしたろ!」

 


蔡瑁との話し合いが終わって外に出ると、龐統からLI〇Eのメッセージが届いた。

龐統「曹仁にKマート新野の株主名簿渡せたお」

諸葛亮「今どきその語尾はねぇよ」

~続く~