小泉進次郎の環境大臣任命に見える自民党の本音
「環境問題はセクシーに」とか「環境会合行ってステーキ食った」で話題沸騰中の小泉進次郎氏。
ただ、セクシー発言自体は若干「切り取られ感」あるんですよねー(↓動画参照)
#国連 の #環境問題 に関する会議で #外交デビュー を果たした #小泉環境大臣 。
「気候変動のような大問題に対抗するためには、楽しくなければならない。そしてクール、それにセクシーにね。」 pic.twitter.com/pjWYO6BZge— TBS NEWS (@tbs_news) September 23, 2019
エネルギー政策なんかで具体策を聞かれるとノーコメント化するのは改善しないとダメでしょうね。お父上の『小泉劇場』を知る世代としては、「純一郎ならもっと上手く切り返しただろうな」ってな感がどうしてもあります。
さて、この小泉進次郎氏ですが、なぜ今回の内閣改造で環境大臣に任命されたのでしょうか。
私は、たぶん自民党は、
「イケメンを利用したい!しかし、勝手気ままに動かれても困る!」
と考えているように思います。以下順を追って説明します。
環境大臣よ、お前は小学校の先生か?
まず、環境大臣というポストについてですが、私は環境大臣って「ウザがられるポスト」だと思います。なぜなら、まともな事を言うと「そういう小学校の先生みたいな説教は聞き飽きたよ」と感じてしまうからです。
この根底にあるのは、間違いなく「エコ疲れ」です。
私が小学生の頃は、
・石油はあと30年で枯渇する!
・温暖化で南極の氷が解けて土地が海に沈む!
・ビニールを燃やすとダイオキシンが出て健康が害される!
ってな話を延々と親やら教師からたたき込まれ、「エコであるべし!リサイクルせぬ奴は死すべし!」という教育を受けました。
ちなみに、私は小学校にあった小型焼却炉に故意にプラスチックを放り込み、教師に胸倉を掴まれた経験があります(自業自得)。最近は小型の焼却炉自体撤去されて、姿を見なくなりましたねぇ。
話を戻します。しかし、今の世界環境を冷静に見れば
・石油はまだまだある
・太陽周期から考えると、長期的には地球は冷えていきそう
・ビニールやプラスチックも最近の焼却炉で高温燃焼させれば大丈夫
・意識は大事だが、日本人1人1人が頑張ったところで限界がある
ってなところが「どうしようもない現実」であって、「自分達がやってきたエコって無意味だったんでは?」という徒労感が溢れています。
こんな状況で、「エコが大事!」なんて言われたら
「小学校の先生の説教は聞き飽きた」と思っちゃうワケですな。
環境大臣はちょうどいい安全ポスト
上記のように「立場上ウザがられるポスト」である環境大臣ですが、メリットが1つあります。
それは、他大臣に比べれば「風当りが強くない」ことです。
つまり、小泉進次郎氏の人気を利用しつつ、大臣経験を積ませるのにはちょうどいいポストなのです。
そもそも、小泉進次郎氏のライフワークは「人生100年時代の社会保障」なんかをテーマにしていた通り、厚生労働分野です。(父の純一郎氏も厚生族議員でしたしね)
しかし、厚生労働大臣は年金や健康保険といった、「誰もが興味を持つ、どちらかと言えば暗い話題」に立ち向かわねばなりません。さらに、医療・製薬といった、人の生命にダイレクトに関係する業務も担当しますから、環境大臣より利権もリスクも大きいです。
つまり、1つ判断を誤ると、この夏の「老後資金2000万円問題」みたいな(正直アホくさい)事件に発展する可能性が非常に高いです。
そんな厚生労働大臣に比べれば、「大きな減点を叩き出すことなく、着実に大臣経験を積める場」として、環境大臣は最適です。
実際、「環境問題はセクシーに」だの「同じことを繰り返してるだけで中身がない」とか取り上げられてはいますが、ダメージはたかが知れいています。こんなニュースは進次郎氏を「すでに嫌っている層が、余計に嫌う」だけです。
「徐々に政治家として育ってくれればいいのよ!お母ちゃんは応援しているからね!」という、オカン的支持層はこの程度でひるみません。
「純一郎にやられた傷が疼くんじゃあ……」
ただ、自民党の内部には「(父親の)純一郎にやられた郵政の傷が疼いて仕方ねぇんだよぉ!!」という人も多く残っているでしょうから、「小泉氏が急に影響力拡大するとアレヤコレヤ困る」というのも間違いないと思います。
実際、進次郎氏が自民党を出たり、自民党を割るような政治ムーブメントを起こそうとすると、自民党中枢としてはたまったもんじゃないです。そうなると、れいわ新鮮組やらN国党などとは比じゃないレベルで面倒な状況になります。2016年の話ですが、「厚労省分割論」をぶち上げて、自民党内に小さいながら困惑を呼んだことはありますしね。
(参考:小泉進次郎氏がぶち上げた「厚労省分割論」のスゴい中身とは… 自民党厚労族はダンマリを決め込むが)
つまり、まとめると
「長期的には自民党を担う人材に育って欲しい」
「でも、イケメンだし今から活用したい」
「でもでも、政界での影響力拡大は控えて欲しい……」
「でもでもでも、中枢部に嫌気がさして反旗をひるがえされるのは避けたい……」
っていうデモデモダッテ状態が自民党中枢の本音なんじゃないですかね。
この本音から導き出された解が、「ビミョーに活躍しにくそうな、どっちかと言えば『うぜぇ』って思われる環境大臣に任命しつつ、政権中枢に取り込む」だったんじゃないかなぁ。
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