星合の空は陰鬱な感じが良い

2020年4月27日

星合の空の1話を見たのでレビューします!

ちなみに、今回はちょーっとネタバレ感ありますので、気になる方は先に1話を見ることを推奨します。

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「星合の空」はどんなアニメ?

表向きには(詳細は後述)、「廃部寸前部活に転校生が来るスポーツ青春モノ」ですね。とくに原作とかは無いようで、オリジナルアニメのようです。

舞台は志城南中という中学校で、主人公たちはソフトテニス部に所属します。この中学校の女子ソフトテニス部は全国制覇の強豪部ですが、主人公たちの男子ソフトテニス部は真逆で「激よわ」です。1話の前半パートで女子部と男子部が学内練習試合をしているんですが、女子部にフルボッコされています。

※男子部はこんな感じ

展開としては、お決まりの「弱小部活に割り振る予算は無い!」という生徒会決定から、「夏の大会で1勝しなければ廃部」っていう流れです。こんな予算権のある生徒会だったら、私も役員やってみたいですねぇ。

他のスポ根廃部回避モノと状況が違う点は、「男子ソフトテニス部が絶望的に弱そう」ってことですかね。バスケ漫画のDEARBOYSとか、野球漫画のROOKIESみたいに、「昔は真面目にやってて、実はメチャクチャ素質あるんだけど、今はやる気ない部員」って人材が皆無なんですよね。ある種リアルな「冷めた無気力系部活男子」が揃っている部で、ホントに夏の1勝が目標になりそうです。

主人公は桂木眞己(かつらぎまき)という中2の転校生です。母子家庭で、中学生ながら家事全般こなしている苦労人ですね。飛び回る猫を空中でキャッチしたり、居住するマンション8階と1階の階段往復を苦も無くやっていたりと運動神経が良く、廃部間近になっているソフトテニス部に勧誘されます。心に闇があります。

また、主人公格がもう1人いて、新城柊真(しんじょうとうま)といいます。こちらが男子ソフトテニス部の主将で、1話を見た限り部内で唯一「テニス部をどげんかせんといかん!(そのまんま東風)」と考えている人物ですね。彼も闇がありますね。

ちなみに、眞己は幼いころ志城南中近辺に住んでいたようで、転校生ではありますが柊真とは既知の間柄のようです。

あと、どうでもいいことですが、この作品キャラの名前が読みにくいッス……。

スポ根の皮をかぶった「心エグる系」

公式ページの人物紹介を見ると、「なーんか暗黒面ありそうなヤツが多いな」って感じると思います。多くの人が「思春期の悩み抱えながら、スポーツを通して成長していくって話だな!」って予想するんじゃないでしょうか。

そういった予想はたぶん大筋では間違っていないです。ただ、1話を見た限り「他のスポ根青春モノとなんか違うぞ」っていう違物感がすげぇ強いです。良い意味で裏切られた感があります。

普通のスポ根アニメや漫画は、やはり「テーマとするスポーツに真摯に向き合って上手になり、勝利していく」ってなトコに重点が置かれていて、人物の葛藤とか生い立ちって「あくまでもスポーツ面での勝利を際立たせるためのギミック」なんですよね。

スラムダンクの三井が不良やってたり、幕之内一歩がいじめられっ子だったという話はあくまで、「彼らがスポーツに対して真摯になり、実力が上がっていくこと」を強調させ、勝利によるカタルシスを大きくするための設定なワケです。

しかし、この星合の空に関しては、その関係が逆転しているように思います。たぶんこの作品、主題は「眞己と柊真の人間としての歪み」であって、「ソフトテニス」は舞台装置でしかないような気がします。なぜかと言うと、歪みが結構ハードで、軽く流せない感じなんですよ。(ソフトテニスなのに)

眞己はおそらく父親に虐待されており、酷いトラウマを抱えています。1話の後半で暴力父がマンションにやってきて、金を奪っていくシーンがあったんですが、顔面蹴られて出血してから膝をかかえてじっと座っているんですね。物凄い陰鬱なシーンでした。中井和哉さんが父親役をされているんですが、逆らうと何するか分からない危ない感じが出ていて鳥肌でした。

そして父親が帰った後、眞己が無表情で晩御飯をつくっているシーンが一瞬映り、そこから居室のテニスラケットを映すっていうのが1話のラストシーンだったんですが、「これラケットで親父をボコボコにする展開になるんじゃなかろうか」って思いましたね。

柊真の方は、男子ソフトテニス部OBで優秀な選手だった兄への反発心からソフトテニスをやっている感じです。ひょっとすると、あんまりソフトテニス自体は好きでないのかもしれません。

また、こちらは母親と上手く行っていない様子です。母親が「優秀な兄と不出来な弟を比べて、弟を疎ましく思ってしまう」っていう状態のようですな。ただ、こっちは明確な説明や描写がなかったので、ひょっとしたら「夫の連れ子」とかそういう設定もあるかもしれません。

蛇足ですが、エンドクレジットの「協力」の項に日本ソフトテニス連盟が入っていました。主人公たちの歪みが結構デカイんで、「連盟さん、この作品に協力して大丈夫ですか?」っていう余計なお世話が頭に浮かびましたね。

「どうなるの?」という興味は非常に高い

上記したようなアニメなので、正直言って「重い作品」だと思います。

現代日本で身近に起きていてもおかしくない話ですから、人間の醜悪さにリアリティがあり、「無理コレ」って拒否感持っちゃう人も多いと思いますね。「作品の好き嫌いがグラデーションのようにバラバラ」っていうか、「続きが気になる派」と「生理的にイヤ・見たくない派」っていう両極2派閥に分離しそうな作品です。

私は「続きが気になる派」ですので、2話以降も絶対見たいですね。「早く次が見たい」っていう意識がメチャ強いです。

あと、眞己と同じマンションに住んでいるクラスメートの御杖夏南子(みつえかなこ)というキャラがいるんですが、個人的に好きなタイプですね。ジトッとした性格で辛辣なことを言う捻くれ感が可愛いです。演じているのは峯田茉優さんという初耳な方でしたので、名前を憶えて継続チェックですな。

評価まとめ!

絵や動きのキレイさ★★素朴な感じ
音楽★★★スポーツモノとしては普通
ストーリー展開★★★★現代日本が舞台で、それに合ったリアリティのある陰鬱さが良い
キャラクター★★★歪みがあって面白い
継続視聴する?するメチャクチャ続きが気になる
オススメする?悩む「アニメは軽い気持ちで見たい」って人にはオススメできない

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深夜アニメとしては正直ウケにくい作品であると思います。1話で拒否感持っちゃう人もいるでしょう。

セリフを通して視聴者に状況を説明してくれるようなストーリーテラーキャラもいないので、「なんなんだよ意味わからねーよ」って感じる人も多いかもしれません。

ただ、個人的には「ぜひ見て欲しいアニメ」ですね。

※本記事は2020年4月15日時点の情報に基づいて作成しております。最新情報はリンク先の各サイトにてご確認ください

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