本田圭佑はミラン加入できるのか(制度的に)

昨日アップしたこちらの記事のACミラン考察版です!
本田選手はミランに移籍できるのか、制度面から考えます。

(ツイート見る限り、こっちは「雇ってくれ!」とまではいかないニュアンスではある)

イタリアの独特なルールを解読していく

移籍ルールをまとめた記事で書いた通り、イタリアのEU圏外選手獲得ルールは非常にややこしいです。まずルールの復習からやりましょう。

セリエAでは、移籍期間開始前日時点での、EU圏外選手の人数によって、シーズン中に獲得できるEU圏外選手の数が変動します。具体的には以下の通りです。

分類 移籍期間開始前日に保有中のEU圏外選手数 無条件で獲得できるEU圏外選手の数 条件付きで獲得できるEU圏外選手の数
A 0人or1人 3人 なし
B 2人 2人 EU圏外選手1人を国外放出するか契約解除すれば、もう1人追加でEU圏外選手の獲得が可能
C 3人以上 1人 EU圏外選手1人を国外放出すれば、もう1人追加でEU圏外選手の獲得が可能(契約解除では認められない)

イタリア国内クラブからの獲得は無制限に可能(チェゼーナからインテルに移籍した長友はこれに当てはまっていた)
※EFTA加盟国はEU圏扱い(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインが該当)

19-20シーズンのミランはどれに該当する?

ではミランのケースを考えていきます。
2019年6月30日段階で、ミランに所属していたEU圏外国を第1国籍とする選手は以下7名です。

第1国籍(EU圏外) 第2国籍(EU圏内国家)
クリスティアン・サパタ コロンビア なし
マテオ・ムサッキオ アルゼンチン イタリア
ディエゴ・ラクサール ウルグアイ イタリア
フランク・ケシエ コートジボワール なし
ルーカス・パケタ ブラジル ポルトガル
ハカン・チャルハノール トルコ ドイツ
ルーカス・ビグリア アルゼンチン イタリア

第2国籍としてEU圏内の国籍を持っている5名はEU圏扱いとなるので、以下2名がACミランの今年の6月30日(移籍期間前日)時点でのEU圏外保有選手です。

・クリスティアン・サパタ(コロンビア)
・フランク・ケシエ(コートジボワール)

これを見た敬虔なカルチョファンの方で、
「おいおい、カメ吉はケシエがアタランタから獲得されたことを知らないのかい?イタリア国内移籍が無制限に可能なら、彼は対象外なんじゃないの?
と考えた人がいるんじゃないでしょうか。実は私も調べる前はそう思ってました。

微妙なトコロではあるんですが、私が調べた限りではおそらく、
イタリア国内クラブからの獲得は無制限に可能」なだけであって、
「EU圏外選手のカウントには含まれる」ってことなんです。

セリエAのクラブは、EU圏外選手をイタリア国内クラブから獲得することは無制限に可能です。
例えば、1シーズンに10人くらい南米人を国内クラブから獲得してもOKです。
しかし、その10人の南米人が1シーズン残留し、なおかつイタリア国籍を得られずに翌年の6月30日を迎えた場合、10人は全員EU圏外選手としてカウントされて、そのチームは上記表のCパターンになるのです。

ってな理屈でケシエはEU圏外選手の1人としてカウントされるため、
ミランの今年の状況は一番上の表のBパターン、「保有中のEU圏外選手2人」に当てはまります。

その後の異動をふまえると…

クリスティアン・サパタは契約満了=契約解除となってジェノアに移籍しました。
そのため、今年のミランのEU圏外選手獲得枠は3人です(無条件2人&サパタ放出による1人)。

で、今年のミランが獲得したEU圏外国を第1国籍とする選手は以下3名です

第1国籍(EU圏外) 第2国籍(EU圏内国家)
レオ・ドゥアルテ ブラジル なし
イスマエル・ベナセル アルジェリア フランス
ラデ・クルニッチ ボスニア・ヘルツェゴビナ なし

ベナセルはフランス国籍も持っていますので、EU圏選手となります。クルニッチはエンポリからの国内移籍なので、「イタリア国内クラブからの獲得は無制限に可能」に該当します。3つの枠を消費しない獲得ということです。


つまり、今年のミランはEU圏外選手の獲得可能枠3つの内1つ(レオ・ドゥアルテ)しか使用しておらず、あと2人はEU圏外選手を自由に獲得できるということになります!

結論

ユナイテッドは制度的に難しいという結論になりましたが、
ミラン移籍に関しては制度上の問題点はなさそうです。