本田圭佑はマンU加入できるのか(制度的に)
最近、本田選手がtwitterを使って突撃就職活動を行っています。
ターゲットとなっているのはマンUと古巣ミランですな。
Give me an offer. I don’t need money but I need to play with great team and great team mate! @ManUtd @ManUtd_JP
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) September 27, 2019
正直言えば、私はこういった売り込みは好きではありません。
なんだか下品というか、カドが立つというか……って思います。
イギリスの労働許可は取れるのか?
まぁ私の所感は置いときましょう。このニュースで私が気になったのは
「労働許可とか外国人枠は大丈夫なんだろうか?」
っていう点です。今回はまずイギリスの労働許可からチェックしていきましょう!
こっちの記事でも触れた通り、サッカー選手がイギリスの労働許可をとるには、基本的にその国の直近のA代表公式戦に出ていなければなりません。出場率の基準は以下の表の通りです。
所属国のFIFAランキング | 労働許可の発行条件となる出場率(※対象は過去2年間) |
1位~10位 | 国際Aマッチの公式戦で30%以上の試合に出場 |
11位~20位 | 国際Aマッチの公式戦で45%以上の試合に出場 |
21位~30位 | 国際Aマッチの公式戦で60%以上の試合に出場 |
31位~50位 | 国際Aマッチの公式戦で75%以上の試合に出場 |
10月1日時点で日本はFIFAランク31位ですので75%の出場率が必要なわけです。
日本のここ2年間の国際Aマッチ公式戦試合数は15試合(W杯4試合、アジア杯7試合、コパアメリカ3試合、W杯予選1試合)です。
この15試合中、本田選手が出場した試合数は3試合と20%に過ぎません。よって、こちらの条件では労働許可をとれません。
出場率じゃない方の条件ならどうか
FIFAランクの低い国の有望選手を移籍可能とするために、補助条件もあります。
※メチャ細かいので、知識欲ある方は頑張って読んでください。それ以外の方はサーっと読み飛ばしてください。
※正式名称は「Objective Criteria」と「Subjective Criteria」です。本記事では補助条件と訳しました。
補助条件はA,B2つに分かれています。
まず、以下の補助条件Aで4ポイント以上あること。
<条件A>
当該選手の移籍金が、前シーズンのプレミアリーグのクラブが払った全ての移籍金の上位25%に相当する金額である | 3ポイント |
当該選手の移籍金が、前シーズンのプレミアリーグのクラブが払った全ての移籍金の上位25~50%に相当する金額である | 2ポイント |
当該選手の報酬が、移籍先クラブの前シーズン年俸上位30名の内、上位25%に相当する金額である | 3ポイント |
当該選手の報酬が、移籍先クラブの前シーズン年俸上位30名の内、上位25~50%に相当する金額である | 2ポイント |
当該選手の現所属クラブがトップリーグのクラブであり、当該選手が30%以上の出場時間がある | 1ポイント |
当該選手の現所属クラブが大陸大会本選(UCL,EL,リベルタドーレス杯)に出場しており、当該選手が30%以上の出場時間がある | 1ポイント |
補助条件Aで4ポイントに満たなかった場合、下記の補助条件Bを加えて5ポイントになれば、それでもOKです。
<条件B>
当該選手の移籍金が、前シーズンのプレミアリーグのクラブが払った全ての移籍金の上位50%の平均金額の2割以上である(※ココ翻訳に自信なし!) | 1ポイント |
当該選手の移籍が自由移籍であり、独自に算出された移籍価値が、前シーズンのプレミアリーグのクラブが払った全ての移籍金の上位50%の平均金額の2割以上である | 1ポイント |
当該選手の報酬が、移籍先クラブの前シーズン年俸上位30名の内、上位50%の平均金額の2割以上である | 1ポイント |
当該選手の現所属クラブが2部リーグのクラブであり、当該選手が30%以上の出場時間がある | 1ポイント |
当該選手の現所属クラブが大陸大会最終予選(UCL,EL,リベルタドーレス杯)に出場しており、当該選手が30%以上の出場時間がある | 1ポイント |
直近12ヶ月以内のアジアカップかアフリカネイションズカップでベスト4以上になっている もしくは 所属代表チームがFIFAランク60位以下であり、直近2年間の代表公式戦の内75%の試合に出場している |
1ポイント |
ただし、これらのポイント条件を満たしても100%労働許可が発行されるわけではありません。
最終的な決定を行うのはイギリス内務省で、ここに最終決定権があるようです。
なので補助条件は「判断の参考にする評価基準」という程度の立ち位置と考えるのが正しいかもしれません。
ポイント計算してみると……
さて、本田選手は自由移籍ですので、上記した中で移籍金に関するポイントは得られません。
報酬もゼロ(or規定上の最低賃金)だとすると報酬関連もノーポイントです。
現所属クラブはないですし、大陸大会も出ていないため補助条件A、B合計で0ポイントの可能性が高いです。
つまり、一般的な基準を満たして労働許可を得るのは難しいと言わざるをえません。
高額報酬を貰えばチャンスはある
ちなみに報酬が年棒900万ユーロくらいを超えれば、報酬関連のポイントが一挙に入るため、可能性は生まれます。
(マンUで報酬上位25%に入ろうとするとそれくらいです)
結論(マンU移籍の可能性)
労働許可の観点から、本田選手のマンU移籍はかなり難しいと言えるのではないでしょうか。
ただ、イギリスの労働許可は内務省の裁量権が大きいようで、
例外的な措置がとられる可能性はゼロではありません。
例えば、今年ガンバ大阪からマンCに移籍した食野亮太郎選手は、
「特別な才能を持つ若手選手」を理由にスコットランドのハーツへのレンタル加入が認められました。
本田選手は若手とは言えないため、同じ理由で特例許可されることはないでしょうが、
なんらかの「理由」を作り出すことができれば、「ワンチャンはある」かもしれません。
さて、本田選手は古巣のミランに対してもプッシュしているようです。
イタリアはイタリアで外国人獲得制限があるので、
そっちについても可能性を調査してまとめたいと思います!(しばしお待ちを…)
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