欧州サッカー 19-20シーズンの中断状況(UCL,スペイン,イタリア,フランス編)
各国リーグの中断期間や、再開(あるいは中止)の検討状況についてリーグ毎にまとめています。贔屓のリーグがどんな状態かの確認に使ってください。 ※2020年6月18日更新(UCL・ELの再開日程を追記!)
イングランド、ドイツ、ポルトガル、オランダ、ベルギーのリーグ情報については「欧州サッカー 19-20シーズンの中断状況(イングランド,ドイツ…etc編)」をご覧ください。
ちなみに、各国の新型コロナの感染拡大状況などについては、外務省のホームページがまとまったデータを提供してくれていますので、一応紹介しておきます。
⇒外務省「各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況」
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※ズラーっと書いているので、興味のあるところに目次からジャンプしてください!
UEFAのスタンスなど
各大会、各国リーグの話を始める前に、UEFAが現在の状況について、どういうスタンスを取っているかを紹介しておきます。
※以降、UEFAチャンピオンズリーグはUCL、ヨーロッパリーグはELと略します。
UEFA「時間をかけてでも19-20シーズンを終わらせろ」
UEFAは4月23日に、「2020-21シーズンの欧州大会の出場権に関するガイドライン」を承認しました。
このガイドラインは結構重要です。なぜなら、「このガイドラインに従わないと、来期のUCL/ELには出させねぇかもよ!」っていう意志表示だからです。
ガイドラインの重要ポイントは主に以下の3点です。
・各国協会は19-20シーズンの残り試合を開催してキッチリ終わらせる努力をせよ
(※「時間をかけてでも」というニュアンスはあり)
・国によっては難しいだろうから、その場合は協会が責任を持って、UCL/EL出場クラブを選定せよ
・ただし、協会が責任を持って選んだとしても、UEFAが「ダメ」っていう権利はある
色々な意味で「さすがUEFA」なガイドラインです。
そんなわけで現在、各国協会やリーグ機構は「国内事情やクラブ財政を鑑みた上で、どこまでガイドラインに準拠するか」に頭を悩ませています。
6月末で切れる契約をどうするか
もう1つ問題となっているのが、6月末契約切れ問題です。
欧州では選手と所属クラブの契約、あるいは選手のレンタル契約などの期間終了日を、6月末とすることが通例になっています。
例えば、久保建英選手のレアルからマジョルカへのレンタル契約も6月末までとなっています。今期でマンCとの契約が切れて、ボスマン移籍すると言われているダビド・シルバも、契約切れ放出となるのは6月末ですね。(契約期限が6末のため、自由移籍が可能なのは7月1日以降)
しかし、現状で残り試合を6月末までに消化するのは困難です。これでは、「再開したのはいいが、主力となっていたレンタル選手が契約期限でいなくなり、チーム崩壊だ!」なんて惨事が起きかねません。
この問題はFIFAもUEFAも認識していますので、「延長措置を講じる」とはしています。ただ、「言うは易し、行うは難し」です。
なぜなら、クラブと選手の契約は「雇用契約」なので、各国の労働・雇用関連の法律に従わないといけません。FIFAやUEFAが「6月末までの契約は8月末まで無料延長しろ」と指示したところで、「我が国の法律上、それはできません」と言われてしまえば、手も足も出ないのです。

この6月末契約問題も、今後片付けなくてはいけない難問と言えるでしょう。
UEFA主催大会🇪🇺
UEFAチャンピオンズリーグ
ラウンド16の4試合を残して中断
UCLはラウンド16の途中で中断しています。アトレティコ、ライプツィヒ、アタランタ、パリ・サンジェルマンの4チームがラウンド8進出を決めましたが、残りの4カードの2ndレグが未完です。
具体的に止まっているのは以下4試合。(左側がホーム。数字は1stレグの得点)
・バイエルン 3-0 チェルシー
・バルセロナ 1-1 ナポリ
・マンC 2-1 レアルマドリー
・ユヴェントス 0-1 リヨン
ラウンド8以降は1試合方式に?
今後については、なんとか決勝まで開催する方向のようです。
ただ、試合数削減案も取り沙汰されており、「ラウンド16の残り4試合は開催してラウンド8進出チームを決定。ラウンド8以降でルールを変更して試合数を圧縮する」という意見が出ている模様です。
具体的にはラウンド8とラウンド4(準決勝)をホーム&アウェイ方式から、1試合方式にすることが検討されているようです。この場合、おそらく中立地での1発勝負方式になると思われます。
開催期間ですが、ひとまず8月中を想定しているようです。
UEFAチャンピオンズリーグ続報(6/18追記-日程決定)
再開日程が決定しました。上記で予想したとおり、ラウンド8とラウンド4は1試合方式となります。
・ラウンド16の残り4試合:8月7,8日
・ラウンド8(準々決勝):8月12~15日
・ラウンド4(準決勝):8月18,19日
・ファイナル(決勝):8月23日
ラウンド8以降の試合は全て、ポルトガルのリスボンに所在する、エスタディオ・ダ・ルスとエスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデを使用して開催されるとのことです。ちなみに、前者がベンフィカのホームスタジアム、後者がスポルティングのホームスタジアムです。
ファイナルは前者、エスタディオ・ダ・ルスで開催されるとのことです。
UEFAヨーロッパリーグ
ラウンド16の1stレグの途中で中断
ELもUCLと似たような状況で止まっています。ラウンド16の1stレグ8試合の内6試合まで試合が完了しています。2ndレグはどのカードも未開催です。
1stレグから中断しているのは以下のスペイン勢対イタリア勢の2カード。感染被害の大きい2国ですから、再開の難易度も高そうですね。
・セビージャ – ローマ
・インテル – ヘタフェ
今後の方針はUCLと同じか
大まかな方向性はUCLと変わりません。
ラウンド16の残り試合は実施して、ラウンド8進出チームを決める。その後のラウンド8,4の方式については検討中といった模様です。開催期間もUCLと同じく8月を予定しています。
UEFAヨーロッパリーグ続報(6/18追記-日程決定)
こちらも再開日程が決定しました。ELも、ラウンド8とラウンド4は1試合方式となります。
・ラウンド16の2ndレグ:8月5,6日
・ラウンド8(準々決勝):8月10~11日
・ラウンド4(準決勝):8月16,17日
・ファイナル(決勝):8月21日
早期に感染が広まり、R16の1stレグを開催できていなかったイタリアクラブ対スペインクラブの2カード、セビージャ対ローマ、インテル対ヘタフェは上記R16の日程に合わせて、中立地一発勝負となりました。
ELのラウンド8以降は、ドイツのケルン、デュイスブルク、デュッセルドルフ、ゲルゼンキルヘンで開催されます。この4都市はドイツ北西部、オランダとの国境付近に所在しています。サッカークラブの多い地域ですから、移動距離を最低限にしつつ、練習設備も確保できる見込みが立ったのでしょう。
ただ、R16に生き残っているレヴァークーゼンはケルン行政管区にあり、ホームタウンエリアでの開催になるので、「ちょっと有利なんじゃないの?」と言う感も。
ちなみに、ファイナルはケルンのスタジアムを使用するようです。
参考:EURO2020
参考までにEURO2020についても紹介します。
EURO2020は1年延期が決定済みで2021年夏に開催予定となっています。大会名称は「EURO2020」のまま変更しないことも決定されました。
ラ・リーガ(スペイン)🇪🇸
中断状況(残り11節)
ラ・リーガ1部は27節まで完了。11節を残した状態で中断されています。
※順位表はこちらをご参考に
優勝争いはいつもの2チームで、1位バルセロナ(勝点58)、2位レアルマドリー(56)。
UCL権EL権争いが熾烈で、3位のセビージャ(47)から、ソシエダ(46)、ヘタフェ(46)、アトレティコ(45)、バレンシア(42)で争っている感じですね。ちなみに4位までがUCL権、5,6位がEL権ゲットです。
降格争いはエイバル(27)、セルタ(26)、マヨルカ(25)、レガネス(23)、エスパニョール(20)ですね。
再開見通し
ラ・リーガは、シーズンを途中終了させるのではなく、残りの11節を完結させる方針です。
再開時期は6月中旬を見込んでおり、そこから地獄の中2日スケジュールで爆走し、7月中のシーズン完結を目指すようです。
ちなみに、同国では外出禁止令が5月4日から緩和されますので、クラブ施設を利用した個人練習くらいは週明けから可能となります。
選手感染検査→個人練習→小グループ練習→全体練習→無観客試合と段階を経るプロセスで再開に漕ぎ着けようと模索している様子です。
6月11日再開が決定(6/4追記)
ラ・リーガは6月11日の再開が決定しました。
11日の再開初戦はセビージャ対ベティス。いわゆるアンダルシアダービー(セビリアダービー)ですね。両チームサポが非常に燃える一戦として知られていますから、「無観客で、どれくらいスタジアム周辺に人が集まってしまうか」の実験には最適でしょう。
それ以外の試合は13日から再開の模様です。久保が所属するマジョルカはバルセロナと、乾の所属するエイバルはレアル・マドリードと対戦予定です。
セリエA(イタリア)🇮🇹
中断状況(残り12~13節)
セリエAは26節の途中で中断されています。残り12~13節ですね。
※順位表はこちらをご参考に
優勝争いはユヴェントス(勝点63)とラツィオ(62)に絞られています。ラツィオの奮闘が素晴らしいので、なんとか再開して欲しい感があります。
以下、インテル(54)、アタランタ(48)、ローマ(45)、ナポリ(39)と続いています。
上位4チームがUCL、5,6位チームがEL出場権ゲットですが、コッパイタリア優勝のEL権もあるため、7位のACミラン(36)もELには出られるかもしれません。
再開見通し
イタリアらしいと言うかなんというか、政府と協会・機構側で路線対立が起きています。
同国のスポーツ担当大臣や、保健衛生大臣はセリエAの再開に懸念を表していますが、セリエAの統括団体であるレガ・カルチョは強気に再開を目指しています。
5月1日には、セリエA全クラブ参加の電話会議を行い。「今シーズンの残り試合を完了させる」方向で合意したと、ある種の決意表明まで飛び出しました。
レガ・カルチョは5月末再開を目指しているそうですが、綱引きがまだまだ続きそうですね。
ちなみに、クラブ練習についてはエミリア・ロマーニャ州の4クラブ(ボローニャ,パルマ,SPAL,サッスオーロ)が5月4日から条件付きで解禁されるようです。
ボローニャ所属の冨安健洋選手には、健康に留意しつつ、試合に出られる体作りを期待したいですね。
6月20日再開が決定(6/4追記)
セリエAは6月20日の再開が決定しました。
再開初戦は20日19:30キックオフの、トリノvsパルマです。(地味なカードだなぁ…)
ちなみにコッパ・イタリア再開が先行して行われるため、6月13,14日に準決勝2ndレグ、6月17日に決勝開催を予定しているようです。
コッパ・イタリアの準決勝2ndレグの対戦カードは以下の通り(左側がホーム。数字は1stレグの得点)
・ユヴェントス1-1ACミラン
・ナポリ1-0インテル
リーグ・アン(フランス)🇲🇫
中断状況(残り10節)
リーグ・アンは28節がほぼ消化された状態で中断されました。
※28節はパリ対ストラスブールのみ未開催
シーズン打ち切り!
リーグ・アンは4月30日に、19-20シーズンの打ち切りを決定しました。消化試合数が違うため、最終順位は1試合当たりの勝ち点で決定されました。
打ち切りという英断には驚きましたが、さらに愕然としたのは、昇格&降格も実施するという点ですね。
優勝チーム、UCL/EL権、昇降格は以下の通りです。
優勝:パリ・サンジェルマン
UCL権:パリ・サンジェルマン、マルセイユ、レンヌ
EL権:リール、スタッド・ランス、ニース
降格:アミアン、トゥールーズ
昇格:ロリアン、RCランス(2部の1位&2位)
来シーズン(20-21)に関しては8月22日の開幕をひとまずの目処としています。リーグアン公式アカウントが最終順位をツイートしていますので参考までに。
蛇足トリビア:スタッド・ランスとRCランス
最後に、本筋とは全く関係ないトリビアを1つ紹介します。
EL権を獲得したスタッド・ランスと、来期昇格予定のRCランスは、「ランス」繋がりですが、ホームタウンの場所は違います。
スタッド・ランス⇒パリ東の内陸県「マルヌ県のランス」がホームタウン
RCランス⇒ドーバー海峡に面した「パ=ド=カレー県のランス」がホームタウン
日本で言えば、「滋賀県の草津市」と「群馬県の草津町」みたいな関係ですね。
本記事では、UEFAの大会と、スペイン、イタリア、フランスの現状について紹介しました。
イングランド、ドイツ、ポルトガル、オランダ、ベルギーのリーグ情報については「欧州サッカー 19-20シーズンの中断状況(イングランド,ドイツ…etc編)」をご覧ください。
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