リーガって何歳からプロ契約できる?(中井卓大)

2020年3月13日

本日(2019/10/23)、レアルマドリードのユースに所属している中井卓大が、レアルマドリードとプロ契約を結ぶ方向っていうニュースが流れました。(日刊スポーツの記事はコチラ

2003年10月24日生まれの中井君(敬称迷いますねぇ)は明日で16歳になるので。プロ契約が可能になるということですな。

中井君は今どこまで上がってきているのか

スペインのサッカーチームが保有するユース組織は俗に『カンテラ』と言われています。

カンテラの元来の意味は「石切り場」です。将来のプロ選手という原石を切り出して、磨いていく場というようなイメージで、カンテラと呼称されているわけですね。

ラ・リーガの1部に属するようなチームのカンテラって巨大です。レアルマドリードともなると、結構な数のチームがあるんですね。具体的に上から順に並べると以下のような感じです。

・レアルマドリード(1軍)
・カスティージャ
—-↑プロチーム—-
—-↓ユースチーム—-
・フベニールA
・フベニールB
・フベニールC←中井君は今ココ(2019秋)ココ
・カデーテA
・カデーテB
・インファンティルA
・インファンティルB
・アレビンA
・アレビンB
・ベンハミンA
・ベンハミンB
・プレ・ベンハミンA
・プレ・ベンハミンB

多すぎるわ!って思いますよね。同世代と競争しながら、これを1段1段のぼっていくのって素直にスゴイですね。マジで尊敬します。

スペインのプロ契約って18歳からじゃ?

さて、本題にいきましょう。

このニュースを聞いた時「スペインのプロ契約って18歳からじゃなかったっけ?」って思いませんでしたか?

古い話ですが、一番有名な例がセスク・ファブレガスですかね。2003年、彼が16歳でバルセロナユース(通称ラ・マシア)に在籍していた時の話です。16歳の選手がスペインでプロ契約締結不可なのを逆手にとったアーセナルが、セスクを移籍金ゼロで獲得(強奪)したんですよね。(※その後裁判になって約85万ユーロ(当時のレートで1億2千万円くらい)の支払いとはなりましたが)

「結局プロ契約できる年齢はどっちなの?」と思って色々記事を検索したんですが、18歳説と16歳説が両方あるんですよね。なのでカメ吉としての仮説みたいな感じでまとめました。

18歳説と混同される、FIFAの18歳未満国外移籍制限について

高校サッカーの留学生問題の記事で触れたとおり、18歳未満選手の国外移籍を制限するFIFAの条項によって、以下の例外条件のいずれも満たさない国外移籍は禁止されています。

例外1:選手の両親がサッカー以外の目的で移住・転居し、子供がそれに付いていく場合

例外2:16歳以上18歳未満の選手で、居住国と移籍先クラブがともにEU圏内である場合

例外3:選手の家が国境から50km以内にあり、移籍先クラブがその国境の反対側50km以内にある場合

久保建英や、ヴィニシウスが18歳までレアルマドリードと契約できなかったのはこの例外1~3をどれも満たせないからなんです。ただし、この条項はあくまで国外移籍を前提とした条項ですから、国内在住の選手が、国内の法律やサッカー協会の規定に基づいてプロ契約するのを禁止しているワケではないのです。なので、国外移籍禁止の話はプロ契約と分けて考えるべきでしょう。

実質的プロ契約が16歳から説

さて、こっちが私の仮説なんですが、実質的プロ契約が16歳からなのではないかって話ですね。どういうことかと言うと、「選手の自由な移籍を制限する『プロテクト』が可能となるのが16歳」っていう話です。

スポーツ選手のプロ契約って一種の労働・雇用契約ですから、各国の労働法規が絡んでくるんですよね。なので、制度を変えようとすると、いくら協会が旗を振っても、政治家が動かにゃ話になりません。そのため、労働契約としてのプロ契約は今も18歳からなんじゃないかと推測されます。

ただ、労働契約ではなくて、選手と「ウチのチームから勝手に出ていっちゃダメよ。出ていく場合は契約解除金を払うか、ウチが満足する移籍金を移籍先クラブに出させてね」っていう『プロテクト契約』を結ぶのは18歳未満でも可能みたいなんです。

ちなみに、契約解除金というのはネイマールがPSGに移籍した際に使った条項です。クラブ間が移籍金で合意できなくても、『その金額を支払えば現所属クラブと契約解除できる金額』を定めておくことで、その金額が最低移籍金として作用するワケですね。

で、この『プロテクト契約』が可能となるのが16歳のようです。根拠はマルカ紙のコチラの記事です。(※英語です。興味のある人は読んでみてください)

上記記事の重要部分を日本語でザックリと訳すと、「スペインプロリーグ機構は、クラブチームと選手がバイアウト条項(契約解除金条項)で契約を結べる年齢を14歳に変更しようとしているが、現在は16歳がルールとなっている」っていうことです。

今年彗星の如く現れた、バルセロナのアンス・ファティなんかが締結しているのも、この『プロテクト契約』なんじゃないかと思われますね。ちなみにアンス・ファティの契約解除金額は1億ユーロ(約120億円)らしいです。

カメ吉の仮説まとめ

確証までは取れていませんが、スペインの若年選手に対するプロ契約は、以下のようになっていると推測されます。

・『本チャン労働契約としてのプロ契約』はいまだに18歳から可能

・選手の他チーム移籍を制限できる『プロテクト=実質的プロ契約』は16歳から可能

今回中井君が契約するのは下の方の、『プロテクト=実質的プロ契約』の方ではないかなぁと思いますね。

中井君がトップチームに上がるまでには、まだまだいくつもの関門があると思いますが、それを突破して活躍してくれることを祈っております!