バビロンの6話まで見た感想

2020年4月27日

最近自作ラノベばっかりUPになっていて、「たまに別の記事も書こう!」なんて考えてたんですが、知人に薦められて見たバビロンが予想外に面白かったので、感想を書きました。

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バビロンってどんな話

原作は、現在3巻まで発行されている野﨑まどさんの同名小説です。野﨑まどさんは、「正解するカド」とか、2019秋に公開された「HELLO WORLD」の脚本を担当された小説家さんですね。

ジャンルとしては、SF風味を微量入れた社会派サスペンスです。公式HPのあらすじなんかを見る限りでは、「製薬会社のスキャンダルかな?」っていうように見えるかもしれませんが、それは最初のキッカケに過ぎません。実際は話のスケールが大きく、国とか人の価値観が揺らぐレベルの話です。

物語の舞台は現代日本で、東京の西側、八王子、多摩、町田、相模原の4市を合併して「新域」という自治体が作られるという状況がからスタートします。この新域設立の目的は、「国家の実験場」として新しい法律や発展計画をガンガン施工するエリアを作るということです。今の日本で言う、「構造改革特区」を極言まで過激化したエリアを作るってとこでしょうかね。

で、この新域が作られて、初代域長に齋開化(いつき・かいか)が就任するんですが、就任早々に、「市民の自殺を認める『自殺法』」という物騒な法律の制定を目指すことを宣言し、それと同時に新庁舎から60人ほどが飛び降り自殺(↓参照)をするっていう事件が起きます。この事件を解明して、法制定を阻止しようっていうようなストーリーですね。

集団飛び降りのショッキングなシーン ©野﨑まど・講談社/ツインエンジン

主人公は正崎善(せいざき・ぜん)という東京地検特捜部の検事ですね。名前の通り正義感の強い男性検事で、検察のポジションからこの事件を追うことになります。政治に関わる捜査なので、主人公を警察官じゃなくて検察官にしたんでしょうね。

もう1人のキーパーソンで、ある種の敵キャラとなるのが、曲世愛(まがせ・あい)という女性キャラです。名前が主人公と対称的ですね。妖艶な女性で、齋開化と行動を共にしており、当初は新域設立に向けた政治工作の一端を担っている人物として登場します。その後、段々と正体が判明してきて、「会った人間(男性?)を虜にして、自殺に追いやることができるという能力・技術の持ち主」だとされています。アニメで見ている分には面白いですが、リアルでは絶対に知り合いたくない女性ですね。

曲世愛 ©野﨑まど・講談社/ツインエンジン

ちなみに、原作は未完のようなので、アニメ版は原作にないところをどう進めるのか注目と言えますね。(アニメのクール数とか全何話とか、軽ーく調べたんですが出てこないんですよね。知ってる方いましたら教えてください)

興味をそそる「ギリギリありそうな世界観」

社会派のサスペンスって、「実際には起きそうもないけど、完全にありえないとは言えない」ってくらいの設定がちょうどいいと思うんですよね。突飛ではあるが、荒唐無稽とは言えないってバランスが大事です。そして、このアニメはその観点において非常に優れていると思います。

自殺を法的に許可するという、現実的に起きるかどうかで言えば99%くらいありえないけれど、絶対に起きないとも言えないような社会を描いていて、「なんとも気味が悪いけれど、なにか引き込まれて見ざるをえなくなるアニメ」なんです。

このアニメ、ストーリーの雰囲気は全体的に暗いです。主人公達の捜査が進展したり、打開策が見えるって瞬間も6話時点まででほとんどありません。正崎を始め、検察・警察が必死に齋開化や曲世愛を探したり、何らかの罪状で逮捕できないかと四苦八苦するのですが、6話時点では「ほぼ空振り」です。むしろ、曲世愛の能力によって、「ミイラ取りがミイラになる」状態です。

自殺法制定に向けても、政界・官界が反対工作を仕掛けていますが、齋開化の方が上を行っているようで、阻止できるような感じはないですね。ここから主人公達がどう逆転するのか、あるいはできずに終わるのか、おっかない感じと楽しみが半々です。

描写とテンポが職人芸

私がすごくいいなぁと感服(&尊敬)したのは、曲世愛の不気味さの描写ですね。

曲世は2話で、検察に1時身柄拘束されて正崎の取り調べ(任意同行の事情聴取?)を受けるんですが、このシーンの「エロティックで人を食ったような悪女感」は物凄いです。もうこれは「とにかく見てください」としか言えないんですが、取り調べをしている正崎の方が、追い詰められてしまうようなシーンになっています。

意味ありげな手の動きをする取り調べシーン(奥の男性が主人公の正崎善) ©野﨑まど・講談社/ツインエンジン

この曲世愛というキャラクター、正直アニメ制作陣は原作を読んだ瞬間に頭抱えると思うんですよね。だって、「会った男を虜にして、自殺に誘うような妖艶な女性」ってキャラクターですよ。普通の美人キャラにしたら「これじゃねぇ」って言われるんですから困難な課題だと思います。ただ、現状その雰囲気が出ていて、「超不気味だけど騙されてみたい女性」になっているのは素直にすごいです。

話のテンポが良いのも好印象ですね。各話の切り方も上手で、「次どうなるんだろう!?」っていう興味を持続させてくれる感じですね。

あと、声優陣が豪華なのもいいですね。全体的に重い雰囲気を出せるナイスミドル声優が多くて、個人的に非常に満足しています。一番いいなぁと思うのは、齋開化を演じている置鮎龍太郎さんですね。齋のように、何を考えているのか分からないダークなカリスマキャラを置鮎さんが演じると、引き込まれるような雰囲気があって最高ですね。政治家としての演説的なシーンなど聴き入ってしまいます。

もう1人挙げるなら、主人公の正崎善を演じている中村悠一さんですね。「熱血正義キャラなんだけど正義とは何かって苦悩する」キャラを中村悠一さんがやると、迫真さがあって大好きです。

話の『締め方』が不安

不安点を1つ挙げるとすると、話の締め方・終わり方でしょうね。

引き込むパートとして6話までは申し分ないと言えるでしょうが、ここから話をどう畳むかによっては「なんじゃそれー」っていうドッチラケに繋がるような予感もあるんですよね。「正解するカド」も賛否ありますがそんな終わり方でしたしね。

スケールが大きくて、「どうやって解決するのこれ??」っていう印象が強いゆえに、「なるほど!」っていうオチを作るのが至難になりそうな作品ですので、「最終話を見て満足できたらいいなぁ」っていうのが私の願いですね。

評価まとめ!

絵や動きのキレイさ★★★不気味さや、一種のエロさは非常に優れています。ただ単純な画面的キレイさという点では普通程度かもしれません。アクションシーンは皆無です
音楽★★あんまり印象に残らない(邪魔になる感じはないので気にする必要もない)
ストーリー展開★★★★
最終話まで見て「なんだこれ!」ってなるかもしれませんが、今のところは文句無しで続きが気になりますね
キャラクター★★★★キャラが立っていて非常に良いです(とくに曲世愛)
継続視聴する?する最後まで見ます
オススメする?するオススメです

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雰囲気が重いですし、軽い気持ちで見れる作品ではないので人は選ぶでしょうが、一度見ると「気になってつい見てしまう作品」だと思います。

ぜひ1度見て欲しいですね。ひとまず3話まで一挙に見ることをオススメします。

※本記事は2020年4月15日時点の情報に基づいて作成しております。最新情報はリンク先の各サイトにてご確認ください

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