5大リーグの相性(UCLトーナメント)

2020年2月25日

今年度のUEFAチャンピオンズリーグのラウンド16トーナメント抽選が行われましたね。2月中旬の1stレグが待ち遠しいです。(個人的にはトッテナム対ライプツィヒが楽しみです)

さて、今回はUCLのトーナメントラウンドにおける、5大リーグの相性をデータから分析してみようと思います。

  1. イングランド勢が、よくドイツ勢に凹まされている
  2. ドイツ勢はスペイン勢が苦手
  3. スペイン勢が意外とイタリア勢に苦戦する

ってなイメージ論が正しいかどうか、数字で見てみようって話ですね。対象となるのは以下のデータです。(早い話が前回記事のデータを流用したかったのである)

集計対象

年度:2003~04シーズンから2018~19シーズンの全16シーズン
対象ラウンド:UCLのラウンド16、準々決勝、準決勝
対象カード:5大リーグ所属チーム同士の対戦(同国対決は除く)

※決勝は試合方式が違うため含めていません。


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5大リーグの直接対決における勝ち上がり率

では、5大リーグのクラブが直接対決した場合の、国別の全体勝率からを見ていきましょう。

リーグ別 対5大リーグ組み合わせ総数・勝数・勝率

  組み合わせ総数 勝数 勝率
イタリア 50 22 44.0%
イングランド 69 38 55.1%
スペイン 79 48 60.8%
ドイツ 44 19 43.2%
フランス 33 13 39.4%

ちょっとややこしいので、説明しますね。

例えばスペインの総数79と言うのは、「レアルマドリード対バイエルン」とか「バルセロナ対チェルシー」のように、スペイン勢が5大リーグの他国勢と、UCLのトーナメントで当たった数の合計です。

※当然ですが「バルセロナ対アトレティコマドリード」のような同国対決は含めていません。

勝数は総数の内、ホーム&アウェイ2戦合計で勝ち上がった数を示しています。勝率はそのまま、勝数÷総数で算出しています。

5大リーグ対決における最高勝率はスペイン勢

大方の予想通り、スペイン勢が最も高い勝率60.8%を記録していますね。

ただ、割と穏当な数字になったようにも思います。スペイン3強(レアル・バルサ・アトレティコ)の勝ち上がりイメージが強いため、6割よりもっと高い数字が出ると予想していたのですが、3強以外の勝率が伸び悩むので、平均するとこの程度に落ち着くのかもしれません。

続いてイングランド勢が55.1%イタリア勢44.0%ドイツ勢43.2%、と来て最後がフランス勢の39.4%となっています。『欧州4大リーグ』になるとフランスがハブにされるのも、この数字を見ると致し方ない感はありますね。

では続いて、リーグ毎に分割した表で相性を見てみましょう。

5大リーグの直接対決における相性

5大リーグのそれぞれに対する勝率

  イタリア イングランド スペイン ドイツ フランス
イタリア 33.3% 38.9% 55.6% 80.0%
イングランド 66.7% 48.1% 53.8% 54.5%
スペイン 61.1% 51.9% 68.2% 66.7%
ドイツ 44.4% 46.2% 31.8% 40.0%
フランス 20.0% 45.5% 33.3% 60.0%

対戦リーグ別に勝率をまとめたものが上の表です。各数値は『一番左の列の国のクラブ』の『一番上の行の国のクラブ』に対する勝率を表しています。例えば、表右上の80.0%は「イタリア勢のフランス勢に対する勝率」を表しています。

カメ吉のイメージ論3つを検証

では記事の冒頭で挙げた、以下の3つの論について検証してみましょう。

  1. イングランド勢が、よくドイツ勢に凹まされている
  2. ドイツ勢はスペイン勢が苦手
  3. スペイン勢が意外とイタリア勢に苦戦する

1については、イングランドが53.8%で微差有利ってところなので、『ハズレ』って感じですかね。アーセナルやトッテナムがバイエルンに凹された、近年の惨劇の印象が強すぎるだけかもしれません。

2については『当たり』のようですね。スペイン勢の勝率が68.2%と、ドイツ勢がお得意様化しているようです。ドイツで流行しているゲーゲンプレス(ボールを失った際の前線からの激しいプレス)が、「GKもDFもパス回しできまっせ!」というバルサやレアル相手に空振りするシーンが多いので、相性が悪いのかもしれません。

3も数字的には『ハズレ』ですかね。スペイン勢は、ドイツ勢に比べるとイタリア勢を相手にする方が苦戦しているようですが、それでも勝率61.1%ですから、「スペイン勢はイタリア勢が苦手とは言えないですね。

その他で目に付く数字

  • イングランド勢対イタリア勢は66.7%でイングランド有利

これが一番意外でしたね。かなりイングランド勢に有利な数字が出ました。引いて守るイタリア勢の守備を、イングランド勢のフィジカルサッカーが破壊しているんでしょうか。「引いて守るなら、キミんとこのエリア内で肉弾戦やろうぜ!」っていうイングランド的優しさが数字に表れているのかもしれませんな。

  • フランス勢は対イングランド&ドイツ勢に健闘

全体勝率では一歩劣るフランス勢ですが、対イングランド勢には45.5%、ドイツ勢には60%と健闘しています。歴史的な経緯から、対抗意識の強い2国相手には死に物狂いになるのかなぁ。フランスサッカー協会は政治力も強いですから、この2国に対しては裏から政治的に…ってのは邪推でしょうか。

まとめ

リーガ(スペイン)とプレミア(イングランド)の2強化が叫ばれていますが、UCLのトーナメント成績を見る限り、その指摘は間違いではないですね。ただ、明確に相性と言えるような組み合わせは以下の2つくらいだと思いました。

  • イングランド勢にとって、イタリア勢はお得意様
  • スペイン勢にとって、ドイツ勢はお得意様

今期のラウンド16では上記2つに該当するマッチは無いですが、準々決勝以降にカードが組まれることを楽しみにしています。